アンノウンマーケティングを医薬品マーケティングに活かす!

さて、前回「アンノウンマーケティング」をとり上げましたが、今回はその続き。

アンノウンマーケティングの実際的な方法論をご紹介します。

アンノウンマーケティングとは、アクセスできる情報の無い潜在的な顧客に対するマーケティング手法です。

ウェブマーケティングにおいては、ウェブサイトを訪れても個人情報を提供しなかったユーザーへのアプローチ方法なのです。

アンノウンマーケティングが、必要とされるのは次の2点が理由です。

・ウェブサイトに訪れた潜在顧客のうち、メールアドレスなど企業からアプローチするための情報を残す人の比率は圧倒的少数
・アプローチ可能な情報を残さなかった潜在顧客にも見込み客になりうる人が一定数いる

医薬品マーケティングでは、医療従事者向けマーケティングでもDTCマーケティングでも適応可能です。

アンノウンマーケティングの手段の基本は、AIやMAツール、広告システムを導入することで対応可能です。

一般的なのは、ウェブサイトに訪れたユーザーにCookieなどでIDを付与して、ウェブ上での行動履歴をモニタリングすることです。

その行動分析をもとに、リターゲティング広告でコンテンツや広告の表示切り替えを行いアプローチします。

潜在顧客が興味関心のあるバナー広告やコンテンツを効果的に表示できれば、ウェブサイトを再訪してもらうことができ、その際に改めて個人情報を獲得する機会を作るのです。

また、ウェブサイトを訪れた潜在顧客がそこから離脱するのを防ぐ方法もあります。

ここでは、いくつかの方法をご紹介します。

1)ポップアップバナー
ユーザーがウェブサイトを閲覧した際に動的なポップアップバナーを表示することで離脱を防ぐことが可能です。
また、再訪したユーザーへ表示することで個人情報の入手を促すことができます。

ただし、やみくもに表示すると迷惑がられてしまいます。

そのため、来訪者をセグメントして、適切なタイミングとオファーで表示することが大切です。

例えば、糖尿病の疾患啓発サイトの場合、初めて訪れた人には、すぐにバナーを表示するのではなく、一定時間経過後に、「糖尿病が不安な方のための誰でもわかる糖尿病のABC」の表示を出して、PDFで小冊子を提供する方法などが考えられます。

また、2回目なら初回に閲覧したページを分析して、それに近い内容のバナーを出すなども1つの方法です。

2)レコメンドの最適化
アマゾンなどでは購入履歴等をもとに、おすすめ商品の最適化が行われています。
アンノウンマーケティングの場合は閲覧した記事等をもとに最適化を図ります。
これは、上記で紹介したポップアップバナーの2回目以降の訪問者と同じ考え方です。
今までに閲覧したページを分析して、関連記事をレコメンドします。

3)チャットボット
チャットボットとはロボットが対話形式でウェブサイトへの訪問者とコミュニケーションを行う仕組みです。
ポップアップバナーは一方的で1回勝負ですが、チャットボットは対話によって、よりパーソナルな情報を提供できます。

例えば、先ほどの糖尿病の疾患啓発サイトの場合、初めて訪れた人には、チャットボットで、「糖尿病のどんなことが知りたいですか?」という質問と選択肢を用意して、ニーズを絞り込んでいきます。
そして、最適な情報を提供することで、信頼性を高め、個人情報を取得します。

アンノウンマーケティングを実践するツールが増える一方で、ウェブ広告の規制も厳しくなってきているので、その点を考慮した慎重な検討が必要です。

このコンテンツが、医薬品マーケティングのアイデアのヒントになれば幸いです。