医薬品マーケティングにも活かせる!通販のKPI?

さて、今回は通信販売で使うKPIの医薬品マーケティングへの応用について考えてみます。

ここ数年、新たな企画やプログラムを実施するに当たって、クライアントの皆様とよく議論になるのは「費用対効果」です。パンフレットや取材記事など単一の資材は「評判が良かった」「うまく使えた」など定性的な評価はできますが、それが採用や処方アップにどの程度影響を与えたかを、定量的に測定するのは、難しい問題です。なぜなら、そこには他の施策が同時に実施されていたり、MRさんのディテールによる影響などもあり、特定のツールやコンテンツとその効果を1:1で結びつけることが難しいからです。

最近、当社では、ツールやコンテンツだけではなく、従来にはなかった施策を、一定期間に1つのプログラムとして実施するケースが増えてきました。その際、ターゲット施設が明確であれば、かなり正確に効果のシミュレーションや測定が可能です。

・新製品を発売するが、MRのリソースが足りない
・逆に、MRのマンパワーは新製品に投入するので、既存製品に投入できない

などといった悩みはどの製薬メーカー様でも起こりえる問題です。

最近では、DM、アウトバウンドによるディテール、ウェブによるディテーリングなど、単独の、あるいは、組み合わせのプログラムを検討するケースが増えてきましたが、こうしたプログラムを実施する場合、

●未採用施設での新規採用を目的とする
●MRのリソースを使わない
●アクションのターゲットが明確になっている

等の条件が揃えば、確実にシミュレーションと成果測定が可能です。その際に活用するのが通信販売で使う指標をアレンジしたものです。

1)MR(Media Ration = メディアレーション)

通信販売における効果測定の指標の一つで、ある広告を実施した際「売上金額÷広告費」で算出します。

医薬品マーケティングなら、「ターゲット施設のプログラム実施期間内の総売上金額÷プログラムの実施する費用」で算出することができます。この場合、広告ではないので「プログラムレーション」などと呼べば、意味と内容が一致します。

通信販売の場合でも、リピートがどの程度あるか?継続性は?製品の単価は?などの諸条件で目標値は異なりますが、「0.5 」を達成できれば大成功です。一般的には0.3程度を目安として、5回以上のリピートを目指すことになります。

医薬品の場合でも、新規採用になれば継続が可能なので、

・製品の粗利益率
・採用後の継続可能性

ほか、疾患領域や競争状況を加味して目標値を決め、成果を測定すればよいと思います。もともと、「既存製品の採用がある」、「関係性が強い」など条件が揃っていれば、1以上のプログラムレーションが十分可能です。

実際、ある領域で実施予定のものは、プログラムレーション 2を目標にしています。

2)LTV(Life Time Value=ライフタイムバリュー)

通信販売の場合は、顧客1名が1年間に購入する金額をLTVと定義します。

医薬品マーケティングの場合は、医師または施設が「成果測定」の単位となります。プログラム内容で期間が変わりますが、LTV=1年で考えれば評価しやすいのではないでしょうか。

したがって、事前に「プログラム実施後、施設ごとに期待できる1年間の売上がいくらか?」の目標値を決め、成果を測定するばよいと思います。

これに加えて、アウトバウンドやアンケートなどを実施し、採用になった製品を処方した患者数や使用期間の情報まで入手すれば、患者さん単位のLTVもある程度算定可能です。あるいは、新規採用施設目標と売上金額目標があれば、目標に必要な患者数やLTVもシミュレーションが可能です。

3)CPA(Cost Per Aquitition=シーピーエー)

通信販売の場合は、「顧客獲得単価」のことで「広告費÷獲得顧客数」で算出します。

医薬品マーケティングなら、「プログラムを実施する費用÷プログラム実施期間の新規採用件数」で算出することができます。

この数値は、

・その施設の処方ポテンシャル
・患者1人あたりの期間の売上(例:月間売上=1日薬価×30日)

などから、自社の基準値を決めればよいと思います。

これ以外でも、「プログラムを実施する費用÷患者さんの1カ月の薬価」を計算すれば、MR=1となる場合に必要な患者数も算定可能です。

医薬品マーケティングは、今後、ウェブによるディテール、アウトバウンドによるディテール、DMなどのダイレクトマーケティングの手法など、MRという限られたリソース以外のマーケティングで成果を上げるプログラムを模索する時代に入ったと感じています。

通信販売のマーケティングは「精緻な指数管理」が生命線であり、その研究や実践が最も進んでいる分野です。医薬品マーケティングの成果測定や費用対効果を測定する方法については、通信販売に学ぶ点がたくさんあるのではないでしょうか。