「人力検索」とは

今週の用語は「人力検索」です。
IT用語とは思えない言葉ですが、利用者も年々増加していますので、利用はしたことがなくとも、聞いたことはある、という方もおられるのではないでしょうか。ご存知のとおり、通常、インターネットで「検索」というと、Yahoo!やGoogleでキーワードを入力して、そのキーワードが含まれたウェブサイトが結果として表示されることを言います。では、これに「人力」が加わるとどのように変化するかをイメージいただくために、現在、最も利用者が多い「人力検索サイト」である「はてな」というウェブサイトをご覧ください。
「人力検索はてな」

ウェブサイトの冒頭にも書かれているとおり、ここでは質問に対して、「他の誰か=ヒト」が回答してくれるサービスです。
Yahoo!やGoogleを利用しても、「求めている結果が見つからなかった」、「探すのに時間がかかった」といったご経験はどなたにでもあるかと思いますが、そういった問題を解決するのに「人力検索」は効果を発揮します。

その違いを具体的に説明します。

一般的な検索サイトである、Yahoo!やGoogleは、クローラーと呼ばれるウェブサイトの情報を集めるプログラムが、自動的にインターネット上の情報を収集し、その情報から検索結果を表示するものです。
そのため、調べたい「キーワード」が「高血圧」「糖尿病」のようにはっきりしている場合は、非常に役に立ちます。

しかし、「おもしろいウェブサイト」や「センスのいいウェブサイト」といった曖昧なキーワードで検索した場合、希望にあったサイトを見つけられるでしょうか?このような場合は、どちらかというと誰かに直接尋ねる方が多いのではないでしょうか。
この「誰かに尋ねる」ことを、インターネットを使い、世界中の(すこし大げさですが)人から様々な情報を得ることを可能としたのが「人力検索」の仕組みです。
実際に「はてな」では「思わず乗ってしまいたくなるような かっこいいデザインの車椅子を教えて下さい。」といった、検索サイトでは探すことが難しいと思えるような質問が多くみられます。

「人力検索」とは、「SNS」や「Wiki」と同じく、IT技術という基盤の上で、多くのユーザがお互いに情報を発信し、共有することで、巨大な「集合知」を形成する「Web 2.0」的な考え方に基づいたものです。

では、これが医薬品マーケティングに応用できる可能性はどうでしょうか?

「人力検索」的なコンセプトのウェブサイトとしては、ソネット・エムスリーが運営するウェブサイト「AskDoctors」があります。
このウェブサイトは、さきほどの「はてな」とはコンセプトは異なりますが、医療消費者から医師への、病気や薬剤に関する質問を可能にしたものです。

製薬企業においては、このような医療行為に介入するウェブサイトを提供することは難しいですが、医師同士が相互に意見交換をしたり、別の医師に回答を求めたりといった人力検索の仕組みを、自社のウェブサイトまたは領域・製品ウェブサイトに付加することが考えられるのではないでしょうか。

質問に回答する医師のインセンティブやモチベーションの問題、回答の正確性の問題など、うまく機能させるための課題はありそうですが、質問と回答数が増えれば、治療や症例、薬剤の処方に関する情報が蓄積されます。その結果、医師にとっても「実践的な知恵」が集積した意義あるウェブサイトとして進化する可能性もあると思われます。

運営者側としては、「SNS」や「Wiki」同様、情報をコントロールできないといった難しい問題があり、自社製品にとってネガティブな情報、批判的な意見や回答がなされる、自社として質問への回答にどう対処するかなど課題もあるでしょうが、可能性を探っていくことも必要かと考えます。

今後の医薬品マーケティングでは、医師同士あるいは医師と製薬企業のより活発な知恵の交換により、新たな「知恵」を創発できる仕組みづくりが必要ではないでしょうか。
そのための方法論の一つとして「人力検索」の活用の可能性を検討してみてはいかがでしょうか。

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