インバウンドマーケティングの進め方

さて、今回は前回の続きで「インバウンドマーケティングの進め方」について。

インバウンドマーケティングとは、

・ブログやeBook、ホワイトペーパー、ニュースリリース、動画などの
コンテンツをウェブサイトやSNSで公開する
・それが検索エンジンの結果ページに上位表示されることで見つけてもらえる
・ソーシャルメディア(SNS)で共有・拡散される

といった取り組みを通して、

・見込み客が、自社やその商品・サービスに興味を持つようになる

というようなマーケティングのことでした。

医薬品マーケティングでは、DTCマーケティングで使いたい手法です。
普段、日常的に患者さんや潜在患者さんと接触する機会がないので、
この手法がピッタリです。

では、実際のインバウンドマーケティングは、どう進めれば良いのでしょうか?

ポイントは、顧客の購買プロセスに沿って適切なコンテンツの提供と
コミュニケーションをとることです。
既に様々な書籍でも紹介されていますが、大きくは4つのプロセスに分かれます。

その4つは、次の通りです。

1)認知・興味の獲得

疾患啓発なら、潜在患者が気になっているテーマに合わせたコンテンツを
配信して、検索で目に留まるようにすることが大切です。

わかりやすいケースでは、花粉症での花粉情報の配信を
タイミング良く行うことです。
実は、「花粉症」で検索する数が最も多い月は、11月です。
おそらくこの時点で花粉症対策を考えているのだと思います。
ですから、このタイミングで自社サイト、ブログ、SNSで
次年度の花粉情報を発信すれば、アクセスを増やせる可能性が高まります。
ここでアクセスした方へのアンケートなどを実施して、
リストを獲得することも良いでしょう。
アンケート結果は、プレスリリースでも活用できます。

もちろん、市民公開講座などのセミナーを開催するという、
リアルでの活動を行うことも良い方法です。

2)調査・理解段階

ここでは、解決策があることがわかり、
消費者が自ら積極的に情報を集める段階です。

企業が提供するものとしては、ある程度体系的に情報をまとめたeBookや
ステップメールを何回かに分けて配信することなどが考えられます。

花粉症なら、原因の説明や予防法、治療法などをまとめたeBOOKを
ダウンロードする仕組みや、5~6回のステップメールで提供するなどです。

ここでは、1つの方法だけを知らせるよりも複数の選択肢を提供することで、
セールスがあまり前面に出ないようにすることも大切です。

3)選択肢の比較と意思決定

ここでは、自らの問題を解決することは決定している段階なので、
それぞれの選択肢のメリットとデメリット、費用などを提示して、
自社の商品やサービスを選んでもらうようにする段階です。

花粉症ですと、医療用医薬品を提供している製薬企業の場合なら、
「受診」がゴールになります。

OTC薬、マスク、サプリメント、初期療法などの選択肢の比較情報を
提供するとともに、最終的に「初期療法」を選ぶことが
ベストであると納得してもらうことが大切です。

ここでは、医師による受診のすすめや治療に関するデータ、
不安に思うことをFAQ(よくあるご質問)などで示すことで、
行動を阻害する「壁」を取り除くことが必要です。

4)リピート・ファン化

最後は、自社の商品やサービスを使った顧客にいかにリピートしてもらうか、ファンになってもらうかを考えたコンテンツやサービスを提供するプロセスです。

会員限定のコンテンツ提供やイベント開催、
クーポンやポイントの提供などが主な取り組みです。
最近話題になっている「サブスクリプションモデル」も
リピート率向上の施策の1つです。

花粉症であれば、一旦受診し、初期治療を受けた患者さんに対して、
服薬コンプライアンスを守る仕組みを提供することも1つの手段です。
また、ユーザーからの質問に答える仕組みや日常生活のポイントなどを
定期的に発信することも良い方法です。

このようにインバウンドマーケティングは、
消費者が顧客になるプロセスで、その時々の消費者の心理状態や情報ニーズに合ったコンテンツやサービスを提供することで、自社の製品やサービスを選んでもらえるような施策の設計を行うことが大切なのです。

このコンテンツが、医薬品マーケティングのアイデアのヒントになれば幸いです。