対話?会話?カンバセーション・マーケティングとは?

さて、今回は「カンバセーション・マーケティング」を取り上げます。

カンバセーション・マーケティングは、カンバセーショナルマーケティングとも呼ばれます。

企業がブログやFacebookページなどを通じて、企業とユーザーまたはユーザー同士で商品やサービスについて会話や意見交換を行い、関係性を構築し、企業への信頼感を高め、ブランドロイヤリティを強めていくためのマーケティングのことです。

もちろん、ソーシャルメディアを使うことに限ったことではなく、イベントや訪問などで直接の会話を通じて行うことも含まれます。

カンバセーション・マーケティングのポイントは、従来「ユーザーの声を聞く」といった調査的、受動的な活動だったものを、

・必ず返事する
・可能な限り迅速に対応する
・継続する

ことです。

たとえば、

「ウェブサイトのデザインがイマイチ!」とのユーザーの声があれば、すぐ変更を開始する

「コンテンツの説明がわかりにくい」との反応があれば、すぐ修正する

など、「行動」「レスポンス」を確実に行うことが重要です。

もう1つのポイントは、「カンバセーション=会話」であることの意味をしっかり把握して運用することです。これについては、「ダイアログ=対話」との対比で、考えればわかりやすいと思います。

会話は、インフォーマルでフランク、お気軽なイメージです。一方、対話は、フォーマルで、やや堅苦しい感じもあります。

また、会話は、親しい間柄や仲間内の話で、対話は、礼節が必要な関係の際に使う手段です。

今まで、多くの企業がユーザーと行ってきたことは「対話」です。もちろん、対話自体には大きな意味があり、それによって、製品は改善したり、機能を追加するなどを行ってきています。そして、それが顧客ニーズを満たすことにもつながっています。

しかし、対話だけでは「いつでも簡単に本音で言える」関係にまでは至らないので、改善やニーズを満たす「スピード感」が不足しがちです。しっかり時間をかけて「対話」を行い慎重に対応することは大切ですが、加えて「スピード」も重要です。

カンバセーション・マーケティングはその名のとおり、ソーシャルメディアなどの便利なツールを使って、「会話」のレベルでマーケティングを展開することです。そのため、「スピード感」においては対話に勝ります。

しかし、実際に企業とユーザーがいきなり「会話」することには無理があります。まずは、「対話」からはじめ、その後、「会話」へと発展させることになります。

おそらく医薬品マーケティングでも「対話」を中心としたマーケティングが多いのではないでしょうか。

本社では、多くのKOLと関係性を築かれていると思いますし、きっちりと「対話」は実行されていると思います。しかし、「会話」の点ではどうでしょうか?

一部のプロマネやMRが特定の医師と「会話」できる関係にあるケースもあるとは思いますが、それが企業レベルで、ソーシャルメディアで取り組み、活かせる仕組みがあることはまれではないでしょうか。

また、ソーシャルメディアは別としても、「会話」レベルの情報を医薬品マーケティングに活かす仕組みや意識については、まだ十分とは言えないように思います。

ソーシャルメディアがこれだけ普及していく中で、今後は、医薬品マーケティングでも「対話」だけでなく、「会話」をマーケティングに取りこむ仕組みも検討する時期にきているのではないでしょうか。