医薬品マーケティングのコミュニケーションチャネルとは?

さて、今回は「コミュニケーションチャネル」について考えてみたいと思います。

マーケティングにおいて、一般的に「チャネル」と言えば、流通チャネルのことです。
消費財では、店舗、自社ECサイト、通販モールなどさまざまな流通チャネルが存在します。
しかし、医薬品マーケティングにおける流通チャネルは、
直販か特約店ですが、多くのケースは特約店経由の1つだけです。
つまり、医薬品マーケティングの流通チャネルは、
伝統的なモデルのまま現在に至っているのです。

一方、医薬品のマーケティング・コミュニケーションにおけるチャネルはどうでしょうか?
チャネル=顧客接点ですから、MRがその中心です。

かつては、コミュニケーションの中心はMRで、
一部、MSのサポートがあったのでコミュニケーションは、
シングルチャネルまたはダブルチャネルでした。

しかし、最近では、自社のウェブサイト(オウンドメディア)、
医師向けの大手ポータルサイト(ペイドメディア)、
さらにはSNS(アーンドメディア)などに広がり、メディアはマルチ化しています。
その結果、医薬品マーケティング・コミュニケーションもマルチ化しています。

そして、現在では、医師とのコミュニケーションの選択肢が増え、
どのチャネルにどれだけエネルギーや費用をかけるのかが課題となってきています。

そして、今後、マルチチャネル・コミュニケーションは、
クロスチャネル、さらにはオムニチャネルへと進化していく可能性があります。

ここで、マルチチャネル、クロスチャネル、
オムニチャネルの違いについて整理しておきましょう。

マルチチャネルとは、
単に顧客接点となるコミュニケーションチャネルが複数存在することを指します。
そのため、各チャネル間の連携や組み合せは考慮されません。

例えば、ウェブによるコミュニケーションとMRによる活動は、
分断された状態で、特に連携の無い状態です。

クロスチャネルも、マルチチャネルと同じく、
顧客接点となるコミュニケーションチャネルが複数存在します。
マルチチャネルとの違いは、コミュニケーションに連携があることです。

例えば、MRは、自分の担当医師が自社のオウンドメディアやペイドメディアで、
どんなコンテンツを見ているか、どれ位の時間を見たかが把握できるような状態で、
医師のチャネル間のレスポンスや閲覧履歴を管理できる状態です。

では、オムニチャネルとは?
もちろん、チャネルは複数存在します。
消費財の流通においては、全ての流通チャネルと顧客接点が統合された状態です。

例えば、大阪の梅田にいた顧客が、
ウェブサイトであるブランドのクーポンや、お得な特典をみつけた場合、
梅田にある店舗に行けば、それが利用できます。
また、店員もその顧客の情報をすぐにデータベースで見ることができる状態です。
つまり顧客は、リアルかネットを問わず、どこでそのブランドを買おうと、
店はシームレスにつながっている状態です。

これは、いうまでもなくスマホの普及によって実現できたことです。

今や、LINE@、フェイスブック、ウェブサイトなど、
医師もスマホを活用してコミュニケーションを行うことが当たり前になっています。
そんな中で、医薬品マーケティング・コミュニケーションも
オムニチャネルの要素を組み込んでいくことが大切になってきそうですね。

このコンテンツが、医薬品マーケティングのアイデアのヒントになれば幸いです。