企業にとっての大切な宝物!ブランド・アドボケーツとは?

さて、今回は「ブランド・アドボケーツ」を取り上げます。

自社商品・サービスや企業ブランドについて、ウェブサイトやSNSで積極的に好意的な情報を発信したり、推奨をしてくれるコアなファンのことです。企業が依頼しなくても、ブランドの良さや体験を自分の意思で好意的且つ積極的に情報発信してくれるので、企業にとっては宝物のような存在です。

ブランド・アドボケーツについて初めて書かれたのは、Rob Fuggetta(ロブ・フュジェッタ)が2012年に出版した「Brand Advocates: Turning Enthusiastic Customers into a Powerful Marketing Force」だと言われています。

ブランド・アドボケーツが商品やサービスを推奨するのは、自分自身がブランドや企業に「感動」「感激」をした場合や期待を超えて満足した場合に、他者に知らせることで、その人にとっても役に立つと確信した時です。クチコミサイトなど、ここ数年のソーシャルメディアの普及により、消費者の影響力が増すにつれ、ブランド・アドボケーツへの注目が高まりつつあります。

一方、難しいのは、ブランド・アドボケーツとの関係性の維持・継続です。

たとえば、ブランド・アドボケーツとして活動していた生活者に、ソーシャルメディア上で企業がコンタクトして関係性を持つとします。そして、新製品の「モニター」として、記事をブログに書いたり、クチコミサイトに投稿してもらった場合、

内容を制約しなかった場合でも、商品を無償提供したら、「ブランド・アドボケーツ」としての行為とみなされるか?モニターとしての活動が継続する場合、それは「広告」になるのではないか?

など、その境界線や関係性作りは、考えるべきことは多そうです。

医薬品マーケティングにおいても、医療者専用のSNSが拡大している中、「ブランド・アドボケーツ」を発見して、関係性作りを考えることは、今後、重要性が増してくるでしょう。

ブランド・アドボケーツを発見する方法としては、ブログなどのソーシャルメディアをモニタリングする方法と、NPS(ネットプロモータースコア)調査を行う方法があります。前者は、医療者専用SNSを閲覧できないので、医療者のブログなどをこまめにチェックすることが求められます。NPSについては、以前、このメルマガで取り上げましたが、「あなたはその企業(ブランド)を人に薦めたいと思いますか」といった推奨意向の質問に対して、「薦めたくない~薦めたい」までを11段階で回答してもらう方法です。

そして、
10~9点の集団を「推奨者(Promoter)」
8~7点の集団を「中立者(Passive)」
6~0点の集団を「批判者(Detractor)
に分けます。

ブランド・アドボケーツは「推奨者(Promoter)」と言ってもよいでしょう。従来、医薬品マーケティングではKOLマネジメントやKOL対策を行ってきましたが、今後は、このブランド・アドボケーツに対しても、通常の情報提供とは違うプログラムを提供したり、共創・協働マーケティングを考えることも重要になるでしょう。

今後は、KOLとの関係性作りに加えて、そうでない医療者の中からも「ブランド・アドボケーツ」を発見し、よい関係のあり方を考えることが、SNS時代の医薬品マーケティングの課題となるのでないでしょうか?