「ブログパーツ」とは

今回は「ブログパーツ」について解説しますが、その前に、日本のブログの状況を見てみましょう。

世界中の「ブログ」を検索対象としている「テクノラティ」の調査では、2006年9月~12月の間に、もっとも多く「ブログ」が書かれた言語は日本語でした。
世界中で、1日に書かれる「ブログ」の本数は150万件を超えるそうですが、そのうちの約55万件、全体の37%が日本語のブログです。
このことから、ウェブマーケティングを考える上でも、「ブログ」は無視できない存在と言えるでしょう。

医師や医療従事者のブログも、最近増加しているようです。当社のウェブサイトのお役立ちリンク、「医療従事者ブログ&ウエブサイト」でもいくつか紹介していますので、いくつかは医師のブログやビジネス関係のブログを読まれたことがあるのではないでしょうか?

さて、「ブログパーツ」とはブロガー(ブログの書き手)が、自分の「ブログ」に設置することができる簡単なプログラムのことで、通常、企業が無償で提供しています。
具体的には、「ブログ」の本文以外の場所に、ニュースや天気予報、占いなどのちょっとした情報を表示することができるプログラムです。

この「ブログパーツ」は、「テクノロジー」としては、それほど新たなものではありませんが、今後の「ネットクチコミ」を考えたり、また、企業とブロガー、そして、ブログの閲覧者のあり方を考える上で重要なものです。

では、医師のブログで「ブログパーツ」が利用されている実例を見ていただきましょう。
お役立ちリンクでも紹介しています「眼科医たけ丸診療録」です。

こちらのブログでは、中央が本文、左側はリンクなどが表示されていますが、右側に「amazon検索」、「1クリック募金」といった表示があります。
これらが「ブログパーツ」です。

企業のウェブサイトで提供されているブログパーツから、好きな「ブログパーツ」を探して、自分のブログに貼り付けます。
こうするだけで、自動的に様々な情報が表示されますので、ブログの内容を手軽に充実させることができます。
また、企業が提供するブログパーツがブロガーの興味や専門性と一致するものであれば、積極的に自分のブログへ貼り付けるようになります。

さて、それでは企業サイドから見た場合の「ブログパーツ」を作成する意義は何でしょうか?
これは大きくわけて3つあります。

1)ネットクチコミの誘発
面白い「ブログパーツ」であれば、読み手が自分のブログでも紹介することになり口コミが広がります。
そのためには、「衝撃の事実」「ヘぇー」「使命感」「感動」「すごく便利」といった、自分が使いたい、紹介したい要素が必要になります。

2)SEO対策
「ブログパーツ」は、提供元である企業のウェブサイトへのリンクを埋め込んでいますので、「ブログパーツ」を貼り付けることで、その企業のウェブサイトへのリンクが増えることになります。
リンクが増えることは、検索サイトでの上位表示をおこなうSEOにも非常に有効な方法で、ページランクが向上する可能性が高まります。

3)自社または製品ブランディング
最近、企業がブロガーに自社の「ブログパーツ」を貼ってもらい、そのお礼に懸賞に応募できるようなキャンペーンが増えています。
たとえば、小林製薬がこの手法を用いています。
小林製薬「ブログパーツキャンペーン」

では、「ブログパーツ」が、医薬品マーケティングにおいてどのように活用できるがですが、基本的には、今、ご説明した3つの目的の沿って考えていけばよいでしょう。

たとえば、1)、3)の両方を目的にするなら、医師のブログ向けに「自社のプレスリリース」や「自社の事業領域の開発・学会関連ニュース」を表示するブログパーツの提供が考えられます。
医師のブログを読む人の多くは、これらの情報に興味を持たれると考えられますので、「ブログパーツ」から、自社のウェブサイトへのアクセスが期待できます。

また、疾患啓発のメッセージや情報を表示する「ブログパーツ」であれば、その疾患を専門とする医師のブログや患者のブログ、どちらにも設置してもらえる可能性があります。
これらのブログの読者は、その疾患に非常に大きな関心を持っていますので、自社が提供している情報へアクセスしてもらえる可能性が広がります。
こうした疾患啓発のブログパーツは、医療従事者以外も利用できますから、SEOや自社のブランディングにも効果を発揮すると考えられます。

ところで、製薬企業が提供しているブログパーツを検索してみましたが、残念ながら、医学情報系・医療情報系のものは見つけることはできませんでした。
さきほどの小林製薬のキャンペーンと大塚製薬のオロナミンCの例があっただけです。
大塚製薬「キモチスイッチ タギング」

冒頭でも触れましたが、ブログは、ここ日本で特に大きく発展しているウェブサイトメディアの一つです。
そして、医師をはじめとする医療従事者が発信するブログも、今後ますます増加すると考えられます。

これからの医薬品マーケティングにおいても、先週の「SMO」に加え、「ブログパーツ」の提供などで、ブログというメディアの積極的な活用を検討されてはいかがでしょうか?