「99.9%成功するしかけ」 藤田 康人

今やだれもが知っている「キシリトール配合ガム」。その市場は現在、2000億。これほどまでにこの市場が巨大化した背景にはどのような秘密があるのか?

本書は、「キシリトールビジネス」の仕掛け人である著者が、キシリトールを市場に導入し急拡大させるまでを、どのようなマーケティング手法で導いたのか、著者の実体験、実践方法を解き明かした書籍です。

本書で紹介されているマーケティング手法は、業界・歯科医師会、消費者そしてメディアを巻き込み、そのいずれもが「WIN」となるように配慮されたマルチWINの方法論です。

著者は素材メーカーに所属していながら、従来はB to Bの枠組みでしか実行されていなかった素材メーカー・食品メーカー間の営業という古いビジネス手法から脱皮し、メーカーの開発部門、マーケティング部門、メディアまでも巻き込んだ新たなマーケティング方法によりキシリトールの大成功をもたらしました。

医薬品マーケティング、特にDTCマーケティングやPRを考える上で製薬企業のプロダクトマネジャーにとって大いに参考になる書籍です。ご自身の担当されている製品のマーケティングを考える上で、ヒントが見つかることもあるのではないでしょうか?是非、一読されることをお勧めします。

それでは、本書から特に医薬品マーケティングにも役立つポイントを私なりの解釈も含めてご紹介します。

●「購買行動・消費者心理」を考える
人間が意思決定し、行動するに際しては、なんらかの科学的メカニズムが働いている。「購買行動・消費者心理」を考える、また行動科学を学ぶことは医薬品マーケティングにも有用である。

●危機管理ネットワーク
製品に対してネガティブな意見を持っているのは誰か、ポジティブな意見を持っているのは誰かを綿密に調査、把握し、否定的な情報が出たときに正しい情報をどのように伝達するかということを予め考慮するクライシスコントロールが重要である。そのため、マーケティング部門と広報部門の連携が重要となる。

●マーケティングPRを効果的に活用する。
機能性食品や医薬品では、掲載面や放映時間といった条件を同じにして、PRと広告を比較すれば、PRは広告の3倍から4倍の効果があると言われている。今後、製薬企業においてもIRや企業広報に加えて、医薬品マーケティングの手段の一つとして「マーケティングPR」を重視することが重要となる。また、マーケティングPRは、その「質」がインパクトを与えるものであることが求められる。

●成功をイメージし続ける。
自分がイメージした以上の成功はありえない。したがって、携わる製品や事業が「世の中のために役立てる」との信念をもてるなら、厳しい状況においても、成功やプラスのイメージをもつことが重要である。

●データ・事実が無いなら「仮説」をもとに積極的にデータ・事実を作る。
臨床試験などからデータが出てくるのを待って、それをどう使うかを考えるのではなく、こういうデータがあれば「顧客を説得することができるのではないか、患者に処方してみたいと考えるだろう」と仮説をまず立案し、その仮説に適合する調査・研究を進め、そのデータを得るように仕掛けることは、メディアにはたらきかける上からも機能性食品や医薬品にとって、重要である。

●有機的なコミュニケーション・ミックス
広告、PR、専門家との連携、専門家からの口コミを有機的にミックスすることで、売り上げに好影響を与える。
広告は認知促進に効果的に利用し、PRは多様なニュースソースから深い理解を促す。
さらに専門家やオピニオンリーダーから信頼度の高い情報を提供することで、継続的な購買を確信させることができる。

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