「アイデアのつくり方」 ジェームス・W・ヤング

本書の著者ジェームス・W・ヤング氏は、20世紀前半に活躍したアメリカの著名な広告マンで、原著の初版は、なんと1940年に発刊されたそうです。
しかし、その内容は、今読んでも十分通用する良書です。本書のキャッチコピーに「60分で読めるけれど一生あなたを離さない本」とありますが、まさにそのとおりで、本文自体は、わずか60ページ程度の内容ですが、どのように「アイデア」を生み出すかについての「原理」と「方法」を明確に示されており、どのように実践すればアイデアが生み出せるかがわかります。

また、日本を代表する地球物理学者竹内均氏が解説を寄稿されており、「広告」も「科学」もその「アイデア」を生み出すプロセスは共通していることがよくわかります。

3年ほどまえに一度読んだ本ですが、ふと本棚で見つけて読み直しましたが、アイデアを生み出す「プロセス」なくしては「アイデア」は生まれてこないことをあらためて痛感しました。

医薬品開発や医薬品マーケティングの新しいアイデアを考える際にも、本書の考え方は非常に有用でしょうし、無意識に本書で示されたアイデア発想のプロセスを実行されているケースもあるでしょう。

それでは、本書の中から、珠玉のセンテンスを紹介します。

知識は、よく消化されて、最終的に、新鮮な組み合わせと関連性をもった姿となって心に浮かび出てこなければ意味がない。(序文 ウイリアム・バーンバック)

アイデアの作成はフォード車の製造と同じように一定の明確な過程であるとういこと、アイデアの製造過程も一つの流れ作業であること、その作成にあたって私たちの心理は、習得したり制御したりできる操作技術によってはらたくものであること、そして、なんであれ道具を効果的に使う場合と同じように、この技術を修練することがこれを有効に使いこなす秘訣である、ということである。

どんな技術を習得する場合にも、学ぶべき大切なことはまず第一に「原理」であり第二に「方法」である。これは「アイデア」を作り出す技術についても同じことである。

知っておくべき一番大切なことは、ある特定のアイデアをどこから探してくるかということでなく、すべてのアイデアが作り出される方法に心を訓練する仕方であり、すべてのアイデアの源泉にある原理を把握する方法なのである。

第一の原理は、「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」ということである。

第二の原理は、「既存の要素を新しいひとつの組み合わせに導く才能は、事物の関連性をみつけ出す才能に依存するところが大きい」ということである。

広告のアイデアは、製品と消費者に関連する特殊知識と、人生とこの世の種々様々な出来事についての一般知識との新しい組み合わせから生まれてくるものなのである。
したがって、自分の専門外の「一般知識」と専門の「特殊知識」の双方が増え、その「組み合わせ」の貯えが増えれば増えるほど、アイデアが生まれるチャンスもそれだけ多くなる。

「言葉」はアイデアのシンボルなので、言葉を集めることによってアイデアを集めることもできるのである。

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