本書は、業界では稀有な15,000部超えの書籍『制度知識で他社MRに差をつける33のQ&A』の著者で、コンサナリスト「川越 満」氏の最新作です。
本書は、変化の真っ只中にある社会、医薬品業界、医療制度、医療機関の経営、患者の意識、ITといった周辺環境の中で、MRが業界内で、自らの存在価値を示すためにどのような視点で行動すべきかを「7つの眼」で提言したものです。
MRの教育は、ともすれば学術教育やセールススキルなどが中心となるケースが往々にしてありますが、これらは必要条件であっても十分条件ではありません。今後は、大きな環境変化の中で、「マーケッター」や「プロデューサー」的な視点、行動が求められますが、本書では、その具体的な取り組み方のヒントが示されています。また、各章末に「exercise」が設けられていますので、読むだけではなく「考える」ための仕掛けが施されています。
私自身、10数年前、MR(当時はプロパーと呼ばれていましたが)だった頃は、とてもできませんでしたが、MRの皆さんが学術知識、セールススキルなどの必要条件を備えた上で、本書の内容を実践することで、卓越したレベルに到達することは間違いないでしょう。
また、本書の対象読者はMRですが、自分の身の回りや環境の変化に様々な角度、視点から眼をむけ、それを感じ取りながら自らも行動を変化させることはMRに限らず、すべてのビジネスマンに要求されることです。事例そのものは医療界、医薬品業界にマッチした内容ですが、コンセプトやフレームワークは、いずれの業界にも適応できる内容で、MR以外の業界内外の皆さんにもお勧めの一冊です。
さて、個人的に最も興味深かったのは、3つ眼「顧客の感情を読む眼」の中で、紹介されているプレゼンについてのくだりです。仕事柄、すごく反応してしまいましたが、ここでの紹介例に登場する勝率9割を超えるというのは、俄かには、信じられない驚愕!の数字です。是非、このプランナーKさんにお会いして、プレゼンの極意を直接伺ってみたいと強く感じました。